ぼんやりとしたまま「徳島空港は徳島阿波おどり空港に移転します」との機内アナウンスを聞きながら、乗務員がドアをあける作業を見ていると、先ほどのエグゼクティブは寝起きの不機嫌そうなタレント2人にサインを求めていた。
飛行機を降りる。荷物が重い。。。
空港は閑散としている。バスの時間など見て、JR徳島駅行きのバスへ乗り込むと、客の様子からどうやら僕を待っててくれたようだと悟った。しかし、だれも大きなバックパックを持った旅行者と目を合わせる事もなく動いてもいない外を見つめている。
僕は一番後ろの開いている席に荷物を抱えて座った。この時間帯は東京からの1便だけで、2人掛けの席にそれぞれ一人ずつ座り、座ってない席に荷物を置いているというパターンで満席だった。
JR徳島駅前は静かだった。まだ4月の初めで空気がひんやりとしている。お遍路さんの姿がちらほら目につく。駅前には薄汚れた托鉢の人が座り込んでいる。
前もって自分宛に送っていた食品類の荷物を取りに宅急便センターへ向かう。すぐわかるだろうと思っていたが、迷う。
市役所の駐車場の警備員に聞くと黙って指差した先に宅急便センターがあった。
荷物が重くなったからか、全ての人が冷酷な他人に見えて、一気に自信がなくなり弱気になった。JR徳島駅から一番札所霊山寺の最寄り駅『坂東』へ向かう。ホームには3人のお遍路さんと外国人と学生2人が電車を来るのを待っていた。
2両編成の古びた、かわいらしい電車に乗り込むと、先ほどホームにいた外国人が隣にすわった。ボイテックという名のポーランド人は簡単な自己紹介の後、お遍路をするのか?今日はどこまで行くのか?と質問してきた。
多分、6~7番くらいまでと答えると笑顔で答えてくれた。
窓の外は緑の世界になっていく。話しかけられた事で暗くなりかけた気分が少し切り替わった。
『坂東』に着く頃には雨が降り出した。駅の待合室でリュックからカッパとリュックカバーを取り出し準備をする。
空を見ると雲に部分的に明るい部分がある。そんなには降らないだろうとカッパの上着だけを着る事にした。
背負う度に重いと感じるバックパックと供に待合室をでるとポーランド人のボイテックが軒先に立っていた。僕を見るなり「Let's Go!」と足を進める。
一緒に行く気かい!と思いつつも僕も笑顔で返事をして一番札所霊山寺へ向かう。
15分ほど住宅街を進むと交差点の先に霊山寺が見えた。
霊山寺 境内 |
霊山寺 仁王門 |