2010-04-08

歩き旅 四国遍路2日目(1)Walk around Shikoku 

テントに日が差し込んできた。
寒くて眠れなかったのが幻の様に、あたたかで穏やかな心地になり、何度も寝たり起きたりを繰り返し寝れなかったストレスを解消した。
そろそろ行かなければと、テントをたたみ荷を作る。
水は出なかったが一晩世話になった熊野神社に頭を下げ、近くの7番十楽寺へ向かう。
朝早くのお寺は歩き遍路さん数人がお参りしている。簡単にお参りをすませ、先を急ぐ。
今日は出来るだけ早く目標のところに着いてちゃんと食べて休んでおきたかった、というのも、翌日行く予定にしている11番札所、12番札所は山寺で最初の難所と呼ばれる箇所だからだ。

8番札所熊谷寺の桜は朝の光をいっぱいに浴びて白く光っていた。
駐車場のベンチに荷物を置き、やや登り坂の参道を上がる。
参道の多宝塔の桜の下に沢山のおじいちゃんとおばあちゃんがそれぞれのスタイルでおしゃべりしている。何をしているのだろうと思いながら近づいていくと、参道を下りてくる人たちにみかんのお接待をされているようだ。
これは僕も頂くことになるだろうなと思いつつ、挨拶をし山門をくぐる。
寺伝によれば、弘法大師がこの地のやや奥に当る閼伽ケ谷という所で修行されているとき、紀州の熊野権現があらわれ、観世音菩薩の尊像を感得したそうだ。
本堂への石段を上がるとこれから向かう先の風景が見えた。

しばらく写真を撮るなどしてすごし、先ほど通った参道を戻る。下る途中、山門と石段、そこを行き来する白装束姿のお遍路さんが清楚で美しく感じた。
桜がちらちらと舞う
お接待をする老人会のみなさま

桜の下で地元の老人会の一員と思われるおばあちゃんにみかん2つとティッシュのお接待を受けた。お礼とどこから来たのかなどの会話を交わし駐車場で朝食代わりにみかんを2つを胃に詰め込んでいると同世代くらいの歩き遍路の青年が軽く会釈をして隣でタバコをふかし始めた。話すところによると現在30歳で東京で建築事務所のマネージメントをしていたそうだ。
旅は道ずれ、この先を一緒に歩く事となり、僕の聞き間違えで彼の呼び名はシオンとなった。
シオンは3年前歩き遍路に来たが全行程の半分くらいまで進んだところで断念せざるおえない事が起り東京に帰ったので今回はそのリベンジに来ているそうだ。前回は何の荷物も知識もなくふらっと来たので、雨など困る事が多かったらしい。今回はしっかり準備をしてきたと言うシオンは、ジーパンとシャツという普段着で、僕から見るとカッパを持ってきた以外は準備万端といった風には見えなかった。
2人で9番札所法輪寺へ向かう途中、88番を打ち終えて1番へ向かう20代の青年に出会った。お遍路では1番から88番まで打ち終わるとお礼参りと称して88番から1番まで戻るらしい。僕が始めたばかりのお遍路を、40日間かけて終えようとしている青年は旅なれた感じの身軽な身なりで、真っ黒に日に焼けている。僕の半分くらいのバックパックにはスリッパとゴミ袋がぶら下がっていた。黒い顔と対照的な白い歯の笑顔が印象的だった。少し前にお接待を受けたからと大量のお菓子と飴を僕らに分けてくれた。
僕もまわり終えた時にはあんな風になれるのだろうかと、民家や商店の窓に映る自分の姿を見ていた。